SSEFについて
ヒストリー
スイス宝石学研究所はスイス宝石研究基金(SSEF: Schweizerische Stiftung für Edelstein-Forschung)の一部として独立した活動を行っています。この基金はスイス宝飾業界団体(UBOS: Union de la Bijouterie et Orfèvrerie Suisse)によって1972年8月22日に設立されました。
この基金はスイス連邦内務省の庇護のもと、Martin Häuselmann(理事長・ベルン)、 Charles Abouchar(ジュネーブ)、Walter Balmer(ベルン)、Horst Edenhofer(フリブール), Adrian Meister(チューリッヒ)、 Christophe Stucki(ジュネーブ)、Frederic Torroni(ジュネーブ)、Ronny Totah(ジュネーブ)、Melissa Wolfgang Amenc(ジュネーブ)らの理事によって監督されています。現在SSEFは国際貴金属宝飾品連盟(CIBJO: Confédération International de la Bijouterie, Joaillerie, Orfèvrerie des Diamantes, Perles et Pierres)、また国際色石協会(ICA: International Colored Stone Association)、ラボ・マニュアル調整委員会(LMHC: Laboratory Manual Harmonisation Committee)のメンバーとなっています。
SSEF研究所の運営はDr. ミヒャエル・ジェムニツキが担当しており、ダイヤモンド、カラードストーン、真珠といった宝石の鑑別を行い、その結果を報告書として発行しています。研究所に所属する宝石鑑別師(ジェモロジスト)は全員が科学・宝石学の教育を修了しており、非常に高い水準で業務を遂行しています。また研究所は最新の分析機器を備え、これらを使用した宝石の産地同定や人工的処理の有無について、科学的かつ再現性のある分析することを原則としています。
SSEFはもともとはスイス宝飾業界の利益のためにその業務を開始しましたが、その後、それ以外の顧客にもサービスを開始し、その信頼性の高さから国際的に高く評価されています。
現在SSEF研究所は、特に最高級の色石、ダイヤモンド、真珠に関して世界でも有数の研究機関となっています。またSSEFは専門家として宝石業者、ジュエラー、オークションハウスから個人顧客まで、幅広く宝石分析に関するアドバイスを行っています。
SSEF研究所ではカットされたルースストーンの分析が主ですが、ジュエリーにセットされた宝石の分析も行っています。分析結果報告書は英語、フランス語、ドイツ語、中国語で発行されますが、この報告書は宝石の同定に関するジェモロジストの評価を記載したものであり、商業上の価値を査定するものではありません。
上記の活動に加え、SSEF研究所では世界中の大学・研究機関等と共同して研究、教育活動を行っています。
リサーチビジョン
科学的研究はSSEFが宝石の分析・鑑別を行う上で、その基礎となる重要な活動です。SSEFはその創設の1972年から、科学的研究を通して宝石学分野の発展に大きく貢献してきました。我々はこれからも大学、研究所、企業などとのコラボレーションを通した宝石学のリサーチプロジェクトを推進していきます。
研究結果は世界有数の宝石学研究所として評価されるSSEFの信頼性を担保するとともに、提供している教育講座を通して受講生にも共有されます。また、重要な研究結果は専門的科学雑誌に掲載されるだけではなく、その他の出版や発表を通して、宝石業界や消費者にも広く共有されることを目指しています。
現在進行中のリサーチプロジェクト
ダイヤモンド
- 合成ダイヤモンドと人工的処理の検出機器開発
- ダイヤモンドグレーディングテクノロジーの開発
産地同定
- GemTOFを用いたルビー、サファイア、その他の宝石の産地同定
- 世界中のスピネル産地の研究
- パライバトルマリン産地の研究
- ジルコンインクルージョンとRaman分光法によるコランダム加熱処理の検出
真珠
- 天然/養殖真珠の同定テクノロジーの新規開発(例:トモグラフィー)
- 真珠年代測定・DNA分析
- 色素分析